ROCKMANX 〜紅いハンター〜
ブレイドさん作
最終章 決着と再会
「ハハハハハ!!!!最高だ、最高だな、ゼロ!!!!よくぞオレの地獄を乗り切った!!!!」
闇の中から、紫色のゼロが再び現れた。
「オレの過去を弄んで、そんなに楽しいか!!!!」
「だが・・・キサマの覚悟、見させてもらった。そしてこれが・・・最後の地獄だ!!!」
そう言うと、紫色のゼロはセイバーを構えた。
「最後の地獄・・・それは・・・オレ自身だ!!!!さあ、キサマ本来の姿のオレに、勝つ事が出来るか!!!自分を乗り越えてみろ、ゼロ!!!!」
そう、この紫色のゼロは、本能のゼロ―本来のゼロ自身の姿であるのだ。
「お前だけは・・・絶対に許さん!!お前がオレ本来の姿なら・・・オレはそれを越える!!!」
そう言って、ゼロもセイバーを構えた。
「だが・・・本来の自分に目を背け、生き続けているお前にオレを越える事が出来るかな・・・?」
「乗り越える!!!乗り越えてやるさ!!!行くぞ!!!!」
かくして、自分自身との、決着をつけるための戦いが始まった。
光に満ちた緑色のゼットセイバーと、絶望に満ちた灰色のゼットセイバーが、激しく火花を散らす。
「ふっ!!!はっ!!!」
「フン!!!ハァッ!!!」
激しい競り合いが繰り広げられる。
(このままではラチがあかん・・・ならば!!)
2人のゼロは、互いに相手のセイバーを振り切り、一気に間合いを離した。
そして、
「『ゼットバスター』!!」
「『ゼットバスター』!!」
二人のゼロの声が重なり、同時にゼットバスターを放つ。
互いに相反する性質を持ったバスターは、激しくぶつかり、消滅した。
(ちっ!!互角か!!なら!!)
ゼロは、次の行動に出た。
「喰らえぇぇぇ!!!!『滅閃光』!!!」
ゼロは、滅閃光を放った。
だが、紫色のゼロは不敵な笑みを浮かべた。
「ゼロ、キサマに面白い物を見せてやる」
「な、何!?」
そう言い放つと、紫色のゼロは右手に溢れんばかりの巨大なエネルギーを集めた。そして、
「終わりだ・・・『真・滅閃光』!!!!」
地面に右手を叩きつけ、地面から無数のエネルギー弾を発射した。
それはまさに、ゼロの最終必殺技―『真・滅閃光』であった。
「何!?ぐああああ!!!!」
ゼロは自分の滅閃光をいとも容易くかき消されるどころか、相手の真・滅閃光をまともに受けてしまい、思い切り吹き飛ばされた。
「驚いたか?だがな、オレはキサマのような生ぬるい『真・滅閃光』等ではない。オレは・・・エネルギーなど切れる事が無い!!」
「何・・・だと!?」
「諦めろ、ゼロ。キサマに勝ち目など無い」
紫色のゼロは、そう言い放った。
(滅閃光では勝ち目が無い・・・ならば!!)
ゼロには、まだ必殺技が残されている。バスターのエネルギーを50%削り、円状にして放つ技―『真月輪』。ゼロは、真月綸を放つタイミングを待った。
「さて・・・本当に終わりにするか」
ゼロは、紫色のゼロに出来たわずかな隙を逃さなかった。
「今だ!!」
「何!?」
「行けぇぇぇ!!!『真月輪』!!!」
そう言って、ゼロはバスターにエネルギーを貯め、一気に放った。バスターは円状と化し、激しい回転をしながら飛んでいった。
だが、
「諦めの悪い野郎だな、ゼロよ!!」
そう言って、紫色のゼロはバスターにエネルギーを貯め出した。そして、
「死ね!!『ワイドショット』!!!!」
そう言って、バスターの発射口からおびただしい数のゼットバスターが放たれた。
「何!?」
ゼロの放った真月輪は、無数のゼットバスターの手により、寸前の所でかき消された。
そして、今度はゼロの方に大きな隙が出来た。
「終わらせてやる・・・」
紫色のゼロはそう言うと、ゼロに向かってダッシュをした。
(っ速い!!!)
ダッシュのスピードも、ゼロに比べると圧倒的に速かった。
(ダメだ・・・このままじゃ防御に間に合わん!!)
だが、紫色のゼロは、ゼロの寸前までダッシュをした後、急に目の前から姿を消した。
「何!?どこだ!!」
ゼロは、辺りを見回した。
だが、どこにも居なかった。
そして、紫色のゼロは、音も無くゼロの後ろに姿を現した。
そして、狂気に包まれた灰色のゼットセイバーが牙を向いた。
「終わりだ・・・」
「何!?」
そして、狂気の牙は、ゼロに向かって振り下ろされた。
「ぐあああああああああああ!!!!」
ゼロは、その場に倒れた。
「だから言ったであろう!!!本来の自分に目を背け、生き続けているお前など、ぬるい事この上ない!!!だから、勝てんのだ!!!!ハハハハハハハ!!!!!!!!」
(くそ・・・体が・・・動かない・・・!!何で、オレの体・・・こんな鉛みたいに重いんだ・・・!!)
ゼロはわずかな意識で何とか持ちこたえていた。
「ほう・・・まだ意識があるか・・・なら・・・改めて問おう。キサマは・・・何のために戦っている・・・?守るべきものも自らの手にかけたキサマに・・・今更何故戦う必要がある・・・?」
(オレは・・・オレは・・・・!!)
と、ふとゼロの頭の中に声が聞こえて来た。
―『ゼロ・・・!!待っていてくれ・・・!!おれは・・・必ず君を探し出してみせる!!』
と同時に、映像も流れ込んできた。
エックスが、たった一人で世界を新たなる危機から救おうとしている。
そして、エックスも紫色のゼロと戦っている。バスターと、そしてセイバーを持って立ち向かっている。
(エックス・・・・・!!)
―『ゼロ、君にはまだ守るべきものはある。おれ達イレギュラーハンターは・・・地球を平和にするために戦っているんだろ?それに・・・今ここで君が死んだら・・・アイリスが悲しむよ・・・。ゼロ・・・君は・・・アイリスの分まで生きなければいけないんだ!!!だからゼロ、必ず・・・必ず戻ってきてくれ!!!』―
ゼロは、一番当たり前の事を忘れかけていた。
地球の平和のため。
残された人類やレプリロイドのため。
そして何よりも、失ったアイリスたちの分まで生きるため、ゼロは戦っている。
ゼロは、闇の中で自分を見失いそうになっていた。だが、エックスの言葉で目が覚めた。
(ああ・・・そうだったな・・・)
そして、ゼロはボロボロになりながらも起きあがった。
「何!!?」
「オレは・・・生きなければならない!!!たとえアイリスを失っても!!!アイリスの分までオレは生きる!!!!そのために・・・オレは戦う!!!!」
そう叫ぶと、ゼロの傷は見る見るうちに治っていった。
「だが、キサマに何が残されていると言うのだ!!!今のキサマの実力では、オレに勝つ事は出来ん!!!」
「オレは・・・お前に・・・いや・・・オレ自身にケリをつける!!!」
そう言って、ゼロは、ゼットセイバーにエネルギーを貯めた。
そして、
「うおおおおお!!!!必殺!!!!『電刃零』!!!!!!」
「な、何!?ぐあああああ!!!!」
ゼットバスターの残り全エネルギーをゼットセイバーに注ぎ込み、凄まじい威力を持つ衝撃波を放つ必殺技―『電刃零』をまともに浴びた紫色のゼロは、思い切り吹き飛んだ。
「おのれぇぇぇぇ!!!!終わりにしてくれるわぁぁ!!!!!」
「オレの手で・・・・終わらせてやる!!!!」
そして、2人のゼロは右手に溢れんばかりのエネルギーを貯めた。そして、
「終わりだ・・・『真・滅閃光』!!!!」
「喰らえぇぇぇぇぇ!!!!!!必殺!!!!!!!『真・滅閃光』!!!!!!!」
2人のゼロの『真・滅閃光』が激しくぶつかりあった。
「おおおおおお!!!」
ぶつかり合い、激しいまでの光を起こす。
互角の威力だった。
だが、ついに、
「ぐ・・・・・うおおおおおおおおおおお!!!!!!オレは・・・生きる!!!!!!地球のため・・・エックスのため・・・そして・・・アイリスのためにも!!!!!!おおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
ゼロの真・滅閃光が、紫色のゼロの真・滅閃光を押し返した。
「な、何だと!!?ぐああああああああああ!!!!!」
2人分の真・滅閃光を受けた紫色のゼロは、その場に膝を崩した。
「おのれぇ・・・おのれぇぇぇ!!!!!!!!!」
「これで、最後だぁぁぁ!!!!!!」
2人のゼロは、互いに最後の一撃に出た。
お互いに飛び上がり、光と闇、二つのセイバーが飛び交った。
2人は、斬ったままの体制で闇の中に降り立った。
「オレの・・・勝ちだ・・・!!」
ゼロがそう言うと、紫色のゼロは音を立てて崩れ始めた。
「ぐおおおおおおお!!!!ハァ・・・ハァ・・・今回はオレの負けだ・・・だが・・・キサマがキサマである限り・・・オレは死なない・・・覚えておけ・・・オレとお前は一心同体・・・片方が存在すればもう片方も必ず存在する・・・ぐうわあああああああああ!!!!!」
そう言って、そのゼロは消えた。
―『ああ・・・その通りだ・・・だが・・・今はとりあえず眠れ・・・オレはエックスと会わなければならない・・・だが・・・オレの心の中にお前が常にある・・・その事も覚えておこう・・・』―
闇は晴れた。
そして、一筋の光が差し込んだ。
「さて、エックスに苦労をかけた事だし、行くか。皆には心配をかけてしまったからな」
そして、ゼロはその光に向かって歩き出した。
「ゼロ・・・?」
その先には、見覚えのある青い光があった。
その青い光こそ、まさしくエックスであった。
「ゼロ・・・!!ゼロ・・・!!生きていたんだね!!」
「ああ。大体、シグマごときにやられてたまるか」
「今、各地でナイトメア現象が起こっている。その原因を突き止めないと・・・ゼロ・・・戻ってきたばかりだけど・・・協力してくれるよね・・・?」
「ああ。一緒にナイトメアをぶっつぶしてやろうぜ!!!」
そう言って、二人は固く、そして強く腕を組んだ。
だが、まだ戦いは終わらない。
ひとまずの再会を交わした後、2人はハンターベースに戻っていった。
―『・・・アイリス・・・すまなかった・・・だから・・・オレは・・・アイリスの分まで生きる・・・どこかで・・・見守っていてくれ・・・』―
―蒼きハンター―『エックス』。
―紅きハンター―『ゼロ』。
―様々な想いを胸に抱え、二人のハンターは再び戦いへと身を投じる。
―戦いの先にあるものは永久の安息か、それとも・・・・・・・
―『ゼロ・・・・私や、兄さんの分まで・・・・・生きて・・・・・』
The END&To Be Contened・・・